アルミ切削の土屋

    

土屋のお約束

その1.

ベストなモノづくり
ワンストップ注文により
時間やコストが削減されます。

その2.

お客様の打ち合わせ・製作・発注まで
一人の担当者が責任をもってあたります

その3.

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製品開発リバースエンジニアリング

アルミ切削加工の基礎知識

アルミ合金は切削加工の素材としてよく用いられています。多くの特徴に優れるため、多様な用途を持つ金属です。しかし、アルミの特徴の中には切削に向かない要素もあり、加工にはアルミに関する知識と経験が必要といえるでしょう。
今回はアルミ切削加工で知っておきたい情報として、アルミとはどんな金属なのか、アルミの材質特徴やアルミ合金の種類を解説し、アルミを選ぶ理由や用途、加工の注意点を紹介します。

アルミとはどんな金属?

アルミの正式名称は「アルミニウム」、原子記号は「Al」で非鉄金属の1つです。「軽い」「強い」「さびにくい」という特性をそろえているため、多くの製品に利用されています。鉄や銅と同様に私たちにとって身近な金属の代表格ともいえます。

アルミの原料

アルミの原料はボーキサイトで、多量のアルミナ(酸化アルミニウム)を含む赤褐色の鉱石です。ボーキサイトからアルミナを取り出し、それを電気分解することによってアルミニウムが得られます。1トンのアルミニウムを精錬するのに、1万4000~1万5000kwhの電力量が必要です。

アルミの歴史

アルミの歴史は比較的浅く、日本でアルミ製品が作られたのは1894年です。国内初のアルミ精錬は1934年に開始されました。以後、アルミ製品が急速に広まり、1996年には日本でのアルミ総需要量が400万トンを超えています。

アルミが持つ材質特徴

アルミには多様な性質があります。大まかにいえば、「加工性が良い」「取り扱いやすい」「応用範囲が広い」といった特徴です。ここでは、アルミの材質特徴を詳しく紹介します。

加工性が良好

・切削加工のしやすさ
アルミ合金は、ほかの主要金属材に比べると柔らかくて削りやすく、切削加工のしやすさを表す「被削性指数率」は240~140です。銅合金(100~70)や鋳鉄(90~50)、鋼(85~50)などより高いことからも、アルミ合金が切削しやすい金属だということがわかります。

・塑性加工のしやすさ
アルミ合金は柔らかいだけでなく、調質によって塑性加工に適したアルミ材の選択が可能です。アルミホイルのような薄い形状から産業機械部品の複雑な形状までアルミが利用されています。

・鋳造のしやすさ
アルミは融点が低く、溶かしやすい金属といえます。高純度アルミ(99.996%)の融点は660.4°Cですが、アルミ合金はさらに低くなります。湯流れがよいため複雑形状の鋳物の製作も容易です。

・接合のしやすさ
アルミの融点が低いという特徴は接合加工にも向いています。溶接、ろう付け、はんだ付けなど、接合のしかたは問いません。しかし、アルミ以外の金属と溶接する場合は難易度が高くなります。

取り扱いが容易

・軽さ
アルミの比重は2.7です。一般的な金属素材としては、マグネシウム(1.7)に次いで2番目に軽く、鉄(7.9)や銅(8.9)の3分の1程度です。製品を軽量化したいときにアルミが素材として採用されるケースは多いでしょう。

・安全性の高さ
アルミは人体への影響が起こりにくい金属です。厚生労働省はアルミを含有する食品添加物の使用を認めています。アルミが体内に入っても、そのほとんどが吸収されずにそのまま排泄されます。

・コストパフォーマンスの良さ
アルミは流通量が多く、比較的安価なためコストパフォーマンスに優れます。加工性に優れることから歩留まりがよく、加工費用を抑えやすいのも利点です。

・リサイクル性の高さ
アルミのリサイクルコストがかからない金属です。アルミを原料から生産するときに対して、リサイクルの際に必要なエネルギー量の割合は5%程度にすぎません。銅が約16%、鉄鋼が約40%であるのと比べれば、アルミのリサイクル性は優秀です。

応用範囲の広さ

・腐食への耐性
アルミは腐食やサビの発生を抑えられるため耐食性に優れます。これはアルミが空気中で表面に酸化皮膜をつくるためです。自動車や船舶、建築物などにアルミを用いれば腐食しにくくなります。

・非磁性体
アルミは磁場の影響を受けません。精密機器のような、磁気を避けなければならない製品の素材に最適です。アルミ合金は先端医療分野やメカトロニクス分野などで広く活用されています。

・比強度の高さ
アルミは合金化や熱処理によって強度を高められます。単位重量あたりの強度(比強度)が高く、製品の軽さと丈夫さを両立させたいときに役立つ金属です。

・軽量な導電体
アルミは電気を通す金属で、銅の導電率を100としたときアルミの導電率は63です。アルミの重量は銅の3分の1程度であることから、同一重量で比較すればアルミは銅に対して約2倍の電気を通す金属であるといえます。

・光と熱の反射性
アルミ表面を鏡面研磨すると高い反射率が得られます。波長が700nm以上のとき80%、1100nmのときは90%以上です。また、アルミは熱反射性にも優れ、熱エネルギーの大きい赤外線をよく反射する特性があります。

・優れた熱伝導率
熱を伝えやすいのもアルミの特徴の1つです。銅や銀には及びませんが、アルミの熱伝導率は真鍮の約2倍、鉄やステンレスの約3倍になります。

・極低温環境への耐性
アルミは極低温にも耐える金属です。液体窒素(-196℃)や液体ヘリウム(-269℃)の容器素材にも使用できます。鉄鋼のほとんどは低温脆性(ていおんぜいせい)があるため、氷点下になる使用環境下ではアルミ素材が有効です。

アルミの合金種類

切削加工では主にアルミ合金が用いられます。高純度のアルミでは強度を維持するのが難しいため、ほかの金属と混ぜて合金化します。アルミ合金にはアルファベットのAに4桁の数字を付した「番手」という分類があり、「A1100」のような表記を用いるのが一般的です。ここでは、アルミ合金の種類を一覧表で紹介します。

番手 添加物 主な特性の説明 備考
A1000番台

(A1100、A1070、A1050)

・なし ・導電性や熱伝導性、耐食性に優れる ・純度99.0%以上のアルミ

・強度と加工性に難あり

A2000番台

(A2017、A2024)

・銅 ・強度と切削性が改善されている ・A2017はジュラルミン、A2024は超ジュラルミン

・耐食性は高くない

A3000番台

(A3003)

・マンガン ・耐食性を維持して強度を高めている ・アルミ缶や建築用材などの用途

・切削加工にはあまり用いられない

A4000番台

(A4032)

・ケイ素 ・耐摩耗性や耐熱性を向上させている

・熱膨張に強い

・基本的に切削加工には用いられない
A5000番台

(A5052、A5056、A5083)

・マグネシウム ・加工性とともに強度と耐食性を高めている ・アルミ切削加工によく用いられる

・溶接加工にも適する

A6000番台

(A6061、A6063)

・マグネシウム

・ケイ素

・A5000番台より強度と耐食性を強化している ・焼入れや焼戻しなどの熱処理をおこなう
A7000番台

(A7075)

・亜鉛

・マグネシウム

・アルミ合金で最高強度を持つ ・熱処理を加える

・A7075は超々ジュラルミンと呼ばれる

アルミ材質が選ばれる理由とは?

切削加工でアルミ材質が選ばれる理由はいくつかありますが、主に3つ挙げられます。以下、アルミ材質が選ばれる理由を説明します。

加工時間の短縮

切削しやすいアルミ合金は加工時間の短縮が可能です。作業のミスも減って余計な工数が発生しにくいのもメリットであるといえます。複雑な形状の部品を切削する際も、ほかの金属素材と比べて時間がかかりません。

美しい仕上がり

反射率が高いことから表面光沢がある製品を作ることができます。アルミを用いて外装部品などの表面処理や装飾メッキを施すことも可能です。

製品性能の差別化

製品の軽量化、小型化などの差別化にもアルミは有用です。アルミの耐食性や放熱性などを生かして、さまざまな機能を付与することができます。

アルミ材質の用途・利用されている分野

アルミの用途は幅広く、あらゆる分野で活用される金属です。ここでは、代表的なアルミ材質の用途や利用されている分野を紹介します。

・自動車
軽量で強度が維持でき、加工性も高いアルミ材質は自動車部品でよく用いられます。耐食性が高いため、サビや腐食が抑えられるメリットもあります。

・新幹線
1992年から、新幹線300系の車両素材にアルミ合金が採用されてきました。アルミ材質が新幹線の軽量化に寄与することで、地上での高速な長距離運行を可能にしています。

・航空機
アルミ合金のジュラルミンや超ジュラルミン、超々ジュラルミンは航空機用材に最適な素材です。アルミ材質の高い強度は航空機の安全性を高めます。

・ロケット
ロケットには軽量化が必須で、外装や内部の燃料タンクなどに採用されているのはアルミ合金です。発射時の空気抵抗や摩擦熱に耐えるために、強度と耐熱性が求められます。

・スマートフォンなどの携帯端末
アルミ材質を用いることで、「軽くて持ち運びやすい」「内部の精密部品が守られる」「電池の熱を逃がす」などの携帯端末に必要な性能を実現できます。

・飲料缶
軽くて丈夫であること、熱伝導率が高いために効率よく冷やせることなどから、アルミは飲料缶にも用いられます。毒性の低さやリサイクル性の高さからもアルミ缶は有用です。

・食品や医薬品の包装
食品や医薬品の包装には人体に対する高い安全性が求められます。アルミ箔は耐食性があって劣化しにくいため包装用素材に適しています。無味、無臭、無害であることも重要な特性です。

・建築物
アルミ材質の耐食性や不燃性は、建築用材に求められる特性といえます。反射率の高いアルミを外装に用いれば、太陽光によって建物が高温になることを防げます。

・LNG(液化天然ガス)のタンク
低温脆性がなく耐食性も高いアルミ合金は、LNGタンクにも用いられます。LNGの貯蔵には-162℃を保つ必要があるため、極低温に耐える金属素材でなければなりません。

アルミ切削加工における注意点

加工のしやすさはアルミの特徴ですが、切削加工の際には注意点がいくつかあります。加工時のトラブルを解決するには切削油の使用が重要です。ここでは、アルミ切削加工における注意点とトラブルへの対策について解説します。

寸法が変化する

アルミ合金は熱によって膨張しやすい特徴があります。温度上昇にともなって膨張する割合を示す「線膨張係数」が比較的高いため、切削加工で発生する熱で寸法が変わることに注意しなければなりません。寸法変化を防ぐには、切削油を使用して温度上昇を抑える必要があります。

変形が起こる

ワークの厚みが薄い場合、切削加工による熱と残留応力で歪みや反りが発生する場合があります。変形を抑えるには「水性切削油で冷却する」「加工時の応力を減らす」「余肉をつけた粗加工をおこなう」といった対策をとりましょう。

切粉が出る

アルミ切削加工でトラブルの要因になりやすいのは、大量に出る「切粉」です。切粉の処理が不十分だと、ワークの表面に傷がついたり切削工具に溶着したりします。「切削油で切粉を浮かせる」「エアブローを使って切粉をきれいに除去する」のが有効な対策です。

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